一般不妊治療は半年が目安の理由

一般不妊治療は半年までとよく言われますが、この根拠について考えてみたいと思います。
どの施設でも、「人工授精で妊娠する人の80%が4回以内に妊娠する」・・・(※)という一般的なデータがあります。これに基づいて説明したいと思います。
一般不妊治療のレベルで、妊娠に必要な要素は主に次の3つです。
①頸管因子
②卵管因子
③卵の質

その他の因子(子宮因子や排卵因子など)はひとまず除いて考えます。
①は、ヒューナーテスト(性交後試験)で評価されます。通常初回の周期でこれを行い、OKならタイミング、不良なら人工授精にすすみます。
よって、次周期以降は①はクリアされており、②か③の問題(卵管or卵)ということになります。
ここで、下図をご覧ください。
fig1-小柳由利子の小部屋
横軸が卵の質、縦軸が人数です。Aは、卵管に問題がない群で、Bは、卵管が働いていない群です。Cは一般集団とします。
注意したいのは、卵管に問題がないというのは、卵管が通っていてかつ、機能している(ピックアップ障害がない)ということです。

(ここで用いる図はあくまで概念図で、実際のデータを示したわけではありません)

Aでは卵管はOKなので、妊娠しない理由は卵の質であり、全体的に山が左側に偏っています。一方Bでは、卵管がNGであることが妊娠しない主な理由になるため、山はCの一般集団に近くなります。ただし、子宮内膜症など、骨盤内の炎症により卵管と卵の質両方に影響を与える疾患を含むため、一般集団より左に偏ります。

さて、AとBを分けて考えてみたいと思います。

A:卵管OK B:卵管NG
fig2-小柳由利子の小部屋
冒頭の(※)の80%とは、Aの斜線部分の面積に相当します。卵の質のボーダーラインは、卵1個あたりが正常である確率が約25%(4回行って1回妊娠)と言い換えることができます(実際には過排卵を行う場合もあるので、もう少し低くなります)。△で示した残りの20%は、5回以上繰り返せば妊娠に至る可能性はあります。しかし、卵の質によっては、かなり多くの回数がかかる可能性もあります。

Bについては、卵管がNGなので、一般不妊治療を何周期繰り返しても妊娠しません。重要なのは、4回タイミングや人工授精を行って妊娠しなかったとき、自分がAの残りの20%に入るのか、Bに入るのかというのは、予測することができないということです。

卵管通水や造影検査では、卵管が通っているということはわかっても、卵管が働いてちゃんと卵を拾い上げているかどうか、ということはわからないからです。

よって、5回以上人工授精やタイミングを繰り返すのは、単なる時間の浪費となる可能性があるため、早めのステップアップをおすすめするわけです。

なお、経験的には、不妊期間が短い・夫婦生活がほとんどない、といった場合を除き、ヒューナーテストの結果がとても良好な場合は、一般不妊治療でうまくいくことは非常に少ないです。つまり卵管か卵の質に問題があるということです。ですから、人工授精のステップをふまずにすぐに体外受精をおすすめします。ヒューナーテストは古典的な検査であり、最近はこれをとばして人工授精から行う施設も多いようですが、結果は現実をとてもよく反映します。4ヶ月というのは年齢によっては貴重になってきますので、初回は是非ヒューナーテストを行い、早く適切な治療に進みたいものです。

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