正常胚の生まれる確率、胚の評価との関係

PGT-Aによって正常と診断された胚の出生率は、報告により異なりますが40~70%と施設により差があります。また、胚の評価(形態学的評価と発育速度)によっても臨床成績が異なることがわかっています。

融解後の胚の状態と出生率について、わかりやすいデータがありますのでご紹介したいと思います。

(Human Reprod, 2018; 33: 1992-2001)

この論文は、胚の凍結方法(ASあり/なし)およびPGT-Aあり/なしと、胚の生存率・移植後の出生率を検討したものです。1次アウトカムでは、融解後の胚の生存率について

・AS(胚の人工的収縮)→行ったほうが良い
・外胚葉生検(PGT-A)→行うのと行わないので有意差なし
・発育スピード→遅いほど良くない(特にDay7凍結胚は×)
・形態学的なグレード→低いほど良くない(特にPoor胚は×)

と結論しています。

さらにPGT-Aあり/なしそれぞれの群での単一胚移植あたりの出生率を比較したのが上記の表です。

当然ですが、検査なしの左側は異常胚も含まれており、検査ありの右側は正常胚のみを移植しています。

両群ともに、発育のスピードが遅いほど・形態的なグレードが低いほど出生率は低下する傾向がありますが、丸印で示したようにDay5に凍結した発育のスピードが早い胚であっても、グレードが低いとPGT-Aを行った群のほうが逆に出生率が低下しています。

発育のスピードが遅くても、グレードが良い、つまり細胞が多ければPGT-Aの影響はあまり受けないこともわかります。PGT-Aでは細胞を採取して減らしてしまうことが、出生率の低下に影響していると考えられます。

正常胚であれば、必ずしも全てがうまく育つわけではありません。この論文の出生率は平均4割と低いほうで、着床の評価などを行えばもっと上がる可能性もあると思いますが、検査を行うことによる負の影響も考えなくてはいけないということです。

一般的には、習慣流産や高齢(38歳以上が目安)の患者さんはPGT-Aの適応と考えられますが、それ以外では検査は行わずに複数胚を移植するほうが良い場合もあると考えます。

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