世界で最も不妊治療が進歩している国は?

このような質問をいただきましたので、説明したいと思います。

まず、以下のようなグラフをよく見たことがあると思います。これは各国の採卵あたりの出産率のデータで、”ICMART”という世界の不妊治療データを管理している機関からの報告です。(Fertil. Steril. 2018)

最新の2011年のデータを見ると、右から順に、台湾・インドネシア(データなし)

続いてマリ・ベネズエラ・レバノン、そしてアメリカです。これらアメリカより右の3つは、症例数自体が少ないので、それを考えるとやはりアメリカがベストなのではと思います。

ちなみに日本は一番左の7.9%(最下位)です。

ただ、これには言い訳がありまして、これが新鮮胚移植の結果であるということです。

日本では凍結胚移植がメインなので、胚盤胞になりにくい人が主に対象となっている、というバイアスがかかっています。

ちなみに凍結胚移植のデータをみると、

黄色マーカー(右)の25.6%。それほど悪くはありません。対してアメリカは43.5%↓

凍結胚移植の成績を上から順に並べてみると・・・(勝手ながら採卵数1000周期以上の国にさせてもらいました)

1位 アメリカ 43.5%
2位 インド 35.3%
3位 ウクライナ 33.0%
4位 メキシコ 30.6%
5位 カザフスタン 29.4%
6位 南アフリカ 28.8%
7位 ブラジル 28.7%
8位 チュニジア 27.7%
9位 チリ 27.4%
10位 ニュージーランド 26.2%
11位 日本 25.6%

というわけで、日本は上から数えたほうが早いので、ちょっと安心・・・。

先進諸国があまり入っていないのは意外でした。やはり1位はアメリカ。次いでインド、さすがです。アフリカ勢も頑張っています。

付け加えておくと、日本は治療年齢が高く、卵子提供が行われていないので、このデータは純粋に技術の高さだけを反映しているわけではありません。

私は常々、日本でも「世界標準の治療を」ということを主張しているのですが、これはもちろん効率のよい治療法の選択や技術の問題もありますが、

早くから治療に取り組みやすい社会的な支援であるとか、

可能性が低い場合に同じ治療を繰り返すのではなく、適切なタイミングで治療を卒業したり卵子提供にすすんだり、といった適切な選択肢があること

といった、すべてを含んでいます。

このデータを見ると、17万近い治療周期(世界ダントツ)が1年間に行われていて、出生児は3万3千人(周期の1/5~1/6)に過ぎません。

日本の不妊治療自体というよりは、治療をとりまく社会に、多くの課題が残されていることを示唆しているのではないでしょうか。

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