卵子提供について考える①

先日、アメリカ西海岸で卵子提供(代理母・精子提供)エージェントをされている、知り合いのIさんが来日されるとのことで、お会いする機会があったので、そのときのお話しを踏まえて卵子提供の現状や将来について考えたいと思います。

実は、この機会に先立って、ツイッターアンケートを通して個人的に簡単な調査をさせていただきました。卵子提供を考えたことがある方に投票をお願いしたのですが、3日間および2日間(手違いで募集期間がずれました)の短期間でこれだけの票が集まったことから、卵子提供への関心の高さが伺えます。

まず、卵子提供を考える上で最も高いハードルはなんですか、という質問に対し、

多くの方が、「遺伝的な問題」「自分に似ないことの問題」を懸念されていました。血縁を重視する日本の傾向が現れていると思います。

また、これが解決したら前向きに考えられるかもしれない項目として、

多くの方が「金銭的問題」を選択されました。これは不妊治療自体とも関係する、現実的な問題だと思います。一方で、将来現実的となるであろう、子供への説明の方法・近親婚のリスクなど、子供の立場を考えた選択肢を選ぶ人は少数でした。

このアンケートの特徴としては一つの選択肢しか選べないため、最大の関心事だけに票が集まってしまいやすいため、1つ目の質問ではあえて「金銭的な問題」という質問を外しました。子供への告知の問題や、近親婚の問題について、どの程度関心を持たれているのか知りたかったのです。ところが、やはりそれよりも「血の繋がりがないこと、自分に似ないこと」が多くの人の心配の種であるということがわかりました。

日本国内では卵子提供が認められていないため、得られる情報が少ないので当然の結果とも言えるかもしれません。しかし、営利目的のエージェントが次々と日本に参入してきている中、逆に金銭的問題さえ解決してしまえば、卵子提供を選択してしまう人もいるのではないか。ということが大変懸念されますし、出産した後に、子供への告知の有無や方法など誰にも相談できずに悩んでいる人も多いのではないか。といったことがとても心配です。

恐らく出自については、隠し遠そう(隠し通せる)と考えている方も多いと思われます。そして自分自身すらも血縁がないことを「忘れよう」とすることで、「普通の」幸せな家族を築こうと考えている人も多いかもしれません。しかし、隠し事をしたままの親子関係は不自然になってしまいますし、子供のほうも多くの場合「違和感」に気づいているのだそうです。何らかのきっかけで子供が隠されていた事実を知ったとき、親子の絆は一瞬で崩壊し、子供は自分の存在意義すらも見失ってしまうことになりかねません(AIDに関する書籍より)。

また、告知の問題だけでなく、結婚の際や病気の際に親の情報が得られないことが子供にとって不利益になる可能性があるということ。

こういった問題点は、まだまだ多くの人に認識されていないということが垣間見えるアンケート結果でした。

それでは、本題に入りたいと思います。

・ドナーになるのはどんな人?

現代社会では多くの人が不妊治療を必要としていることから、不妊治療領域はよい金儲けのターゲットと考えられています。そのため、卵子提供エージェントはアメリカ各地に乱立しているとのこと。ドナーは、駅やスーパーにある無料のチラシなどで広く募集されることが多いそう。以前聞いた話では、アメリカでは卵子を売買するのが珍しいことではないため、スーパーの掲示板の、いわゆる売ります買いますコーナーなどで「私の卵子買いませんか」などという掲示を見ることも多いのだとか。最近は少なくなったそうですが、そういったノリで募集が行われるので、採卵のさの字も知らないような若くてお金が欲しい女性が、あまり何も考えずに応募してくるのだとか。

多くのエージェントでは、利益を上げるためにできるだけ時間をかけずに頭数をそろえることを考えているので、ドナーと事前に面談を行うことなどなく、オンライン登録で済ませてしまっているところが多いのだそう。採卵は麻酔をして膣から針を刺すというのも知らずに登録してしまう人もいるそうです。

Iさんのところでは、事前に面談を行い、ドナーさんがOKであれば患者さん向けのビデオレターなども撮影している。必ず面談を行うことで、最低限約束を守れるかどうか、常識のある人かどうかということもスクリーニングできる(時間を守れない人やドタキャンも多い)とのことでした。

ドナーさんの扱いは、多くのエージェントではとても酷いらしく、採卵したらはいサヨウナラ、という感じで、採卵後麻酔で朦朧としている中、カバンに札束を突っ込まれて、家に帰ってから現金が入っていることに気づいたというような経験を語る方も多いのだとか。医療とは全くそぐわないこのような金目当ての輩が、命そのものを扱う生殖医療に参入することを許してよいのでしょうか。

日本での卵子提供を考えたとき、企業の利潤追求の糧になることは学会が最も避けようとしていることですが、一方ボランティア精神の旺盛な人が多い社会とも言えません。ヨーロッパ諸国のように献血のような感覚で卵子を提供するようになれば理想的ですが、遺伝子にこだわりの強い日本人には提供するほうも心理的ハードルが高いと思います。

ドナー集めの段階で、国内での卵子提供の実施は、かなり難しいのではないかと感じました。 次回に続きます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする