卵子提供について考える③

卵子提供を受ける人たち

アメリカ西海岸の不妊クリニックには、多くの日本人が卵子を求めてやってくるといいます。多くは、自己卵での治療がうまくいかなかった方々ですが、シングルの女性も多いようです。その場合、精子提供もペアで受けることになります。年齢は50代の方もいらっしゃるそうです。
中には、着床もうまくいかず、代理母も合わせて利用する方もいるのだとか。余程お金のある方ではと思いますが、体力的に赤ちゃんのお世話も難しいため、ほとんど(特に夜間の2時間おきの授乳など)シッターさんにお願いして育ててもらうのだそうです。そうなると、卵子も精子も生むのも育てるのもすべて違う人、ということになります。お金さえあれば何でも希望が叶う社会、というのにも疑問を抱かずにはいられません。が、あらゆる方法でできた子供がいる社会では、卵子提供など大した問題ではないように思えます。
ちなみにアメリカでは、自己卵での採卵~移植まで380万円、卵子提供での採卵~移植まで530万円(1回あたり)、自己卵+代理母では2000万円ほどかかるそうです。Iさんの情報によると、卵子提供での妊娠率は、8割程度とのことでした。

ドナー選びにかかる時間

ドナーさんへのこだわりは人それぞれで、数か月で決められて治療を開始する人もいれば、4~5年かかる人もいるそうです。一般的にアメリカ人に比べてアジア人は時間がかかることが多いそうです。もともとアジア系のドナーさん自体が少ないこともありますが、特に日本人と韓国人は、「血液型へのこだわり」が強いようです。文化的な背景もあるのかもしれません。日本ではプロフィール欄に必ずといっていいほど血液型を書きますよね。しかし多くの海外の国では、血液型など調べたこともないという人が多いのだそうです。
日本の患者さんの多くは、子供が母親と血縁関係がないことを自分で知ってしまわないように、理論的に受け継ぐことのあり得ない血液型を避けるということです。しかし、希望の条件および血液型にマッチするドナーさんがなかなか現れず数年が経過してしまうようなこともあり、最後はドクターに説得されてようやくドナーさんを決定できた方もいるとのこと。
卵子提供であることをはじめから周囲にオープンにできる環境であれば、もっとスムーズに進みやすいのではないかと思います。
他にも、例えば血液型以外に「目」へのこだわりもよくあるそうです。一重か二重か。それだけでなく、自分とよく似た「平行型の、パッチリ二重」を希望される方もいらっしゃるとか。やはり子供が自分に似ているかどうか、ということはとても気になるのだと思いますが、そのためにあまりにも時間を多く費やしてしまうのは勿体ないですね。
産むこと育てることは、当然早いほうがよいです。そのほうが子供と少しでも長く人生の時間を共有できるのですから。

第三者が介入する医療の問題点

第三者が介入する生殖医療は、ルール作りは難しいと思います。採卵をすることもリスクですし、代わりに出産することもリスクです。医学的なリスクに関しては、どちらがどれだけリスクが高いかを数字で比較することはできますが、心理的・社会的リスクは単純に比較することはできません。ただ、提供者と子供との関係性ということで考えれば、前回書いた通り代理母のほうが良好な関係性が継続でき、子供のアイデンティティー確立へのリスクは少ないともとらえられます。また、卵子提供、精子提供、代理母の利用がそれぞれOKなのであれば、「全部提供」の例もその延長に過ぎず、禁じる理由は説明しづらいです。

大人の希望をどこまでも認めてしまうと、まるで子供は作られた「モノ」のようです。しかし、生殖医療はショッピングではありません。治療を決めるのは大人ですが、最も大事なのは、親がどうしたいかではなく、子供がどうしてほしいかを考えることだと思います。理想は、生まれてくる子供の声を聞くことです。でも聞くことはできないので、予測するしかありません。そのためには、実際にそうして生まれた子供たちの声を聞き続けること。そして親同士が模索しながら、その結果を同じような経験をされた方たちに伝承し続けることだと思います。 続きます。

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